この地球誕生から今日に至るまで、人類史や宗教・哲学史、科学・技術史など其々の歴史書があり、諸説伝えられていますが、菌の世界も然りです。台所に立ち何時も思うのは、その食材の生まれた環境や発酵の過程というかプロセスに関心が向きます。例えば初めて会った人との感覚と言いましょうか、その方の魅力やオーラみたいなものはどうやってできたのだろうという関心みたいなものに似ています。いただき物やスーパーで買ったものでもその感覚は同じで、野菜なら土壌環境や漬け物・味噌ならその中の菌、はたまたそれを食した人間の腸内菌まで、興味は絶えません。それは、人類誕生よりはるか以前からこの地球上で暮しているのが菌類であるという事を、人間は本能的に知っているからではないでしょうか。そして、今や菌の世界がコンピュターの情報処理能力を持ち得ることまで分かりだしているそうです。
以前、コロナ禍である書店に「菌類が世界を救う」という見出しの本が置いてあり買い求めましたが、暫くそのまま机の隅に置かれていました。やがて、時を忘れこの波動の哲学を書くにあたり、菌の事を知らずしては書けないとなり、表紙を開くことになりました。しかし、文字は追えども菌類史又は生物史のベースが無いため、頭の中はモヤモヤです。過去には拘らなくてもよいという言い訳をし、歴史類は一切勉強をしなかったことを今は後悔します。
そんな中、更に十年くらい前のカウンセリングで頂いていた「いのちのエネルギー」資料から、生命誕生の情報検索に明け暮れたことを思い出しました。2012年日本では鉱物の研究から生命誕生の実験がなされていた事を知り、更に2017年にはカナダで地球最古(約40憶年前)の化石から生命誕生の痕跡が発見された記事がありました。2020年は南太平洋の海底を掘削した岩石の中に微生物が生息していたことまで書かれていました。この微生物(バクテリア)こそが生命の出発で、真核生物と原核生物へと進化する事を知りました。
記事を見ますと、深海の大地の割れ目から噴出する熱水噴出孔という数百度にも達することがある熱水には豊富な重金属や硫化水素が多く含まれており、この40億年前の化石には鉄を食べる海生バクテリアにより形成された糸状構造と人の髪の毛の半分の幅と長さ最大0,5ミリの赤い管の化石が、白い花のような石英構造体の中に閉じ込められた状態で見つかったそうです。熱水噴出孔周辺では熱水中に溶解をしている化学物質に依存した生態系が見られ、活発な生物活動がなされているとのこと。そして、有機物合成を行う細菌や古細菌が食物連鎖の最底辺を支えているとのこと。更に、海底岩石に生息している生物が、やがて大陸になった鉱物から誕生がなされる事により、後の人類史へと繋がります。
菌の歴史は、太古からのこのように繋がっていますが、人間の食する食物にも体内の中で歴史が紡がれていきます。その結果が、その人なりになるという世界ではないでしょうか。こんなことを台所で何時も考えながら、食材とお話を楽しんでいます。