日露戦争とマネー
では日本とイギリスの金融資本家達の間に繋がりはあったのでしょうか?
幕末期に、坂本龍馬が創設した貿易結社・亀山社中に資金を提供したり、薩摩藩や長州藩に武器・弾薬を販売したトーマス・グラバーという商人がいます。彼はイギリスの商人です。
彼は元々は東インド会社を前身にもつ、清にアヘンを売りさばいて大儲けをしたジャーデン・マセソン商会の社員で、23 才の若さで代理店のグラバー商会を創設し、日本での輸出入業に携わりました。既に幕末期の混乱に金儲けの匂いを嗅ぎつけたイギリスの金融資本家達は、日本の一部の藩や人物に武器弾丸を売りつけることで大儲けをしていたわけです。ここでも、戦争を利用して彼らはマネーを増やしていきました。
そして日露戦争の例も有名ですよね?歴史的には米クーン・ローブ商会のジェイコブ・シフの資金援助の話が有名ですが、彼はロスチャイルド家のアメリカにおける代理人のような人物です。なので、ロスチャイルド一族も日本政府の外貨建て戦時国債の購入には大きく関与しているのです。
このお話の裏事情をみてみましょう。日露戦争の戦費を稼ぐために高橋是清が奔走したのは有名なお話です。そして高橋是清はロンドンのシティで外貨建て公債で戦費を得ようとしますが、いい返事が得られませんでした。その結果、日本政府が目指した半分の額しか融資が得られず、困っていたところに、たまたまパーティーで同席したジェイコブ・シフが事情を知り、残りの融資を申し出てくれた、という美談になっていますが、事実は少し違うようです。
実はイギリス国王エドワード7世の個人金融アドバイザーであったアーネスト・カッセル卿が当時の日本の状況について、あらかじめジェイコブ・シフに情報を伝えていたようなのです。ここからは私の推測ですが、確実に儲けになるか分からない日本への融資に、イギリスの金融資本家達は二の足を踏んだのではないでしょうか?そこでアメリカで国際銀行を営んでいたジェイコブ・シフを使って様子見をしたのでしょう。そうした所、日本がロシアと互角に戦っている姿を見て安心したのか、その次からはロンドンのシティの金融資本家達も融資に加わった、といったところが真相なのではないでしょうか?事実、ジェイコブ・シフは高橋是清に出会う前に、日本がロシア相手に戦争を始めることを把握していた、という記録が残っています。