闇のマネー その六

マネーがナチスを育てた

さて、金融資本家のシナリオに踊らされる、という観点から見ますと、ロシア革命やナチスドイツによる戦争、毛沢東による中華人民共和国の建国についても同じことが言えそうです。

それでは、ナチスドイツについて考えてみましょう。

先ず、アメリカにおける通貨発行権を手中に収めようとしていた一団が、アメリカ大統領選挙で大量のマネーを投入し、自分達の思い通りに動いてくれる大統領を当選させました。そしてとうとう 1913 年に連邦準備制度理事会(FRB:Federal Reserve Board)が発足し、アメリカドルの通貨発行権を民間の中央銀行が握ることになりました。

実は国際金融資本家のマネーの融資があって初めて、大きな戦争というものが成立してきた歴史があるように思います。そして、予め FRB を創設した上で、第一次世界大戦が勃発しました。そうやって先ずヨーロッパが分断されました。というか、既に多くの植民地から利益を得ていた既得権をもつ国々が、後から勢力を増してきたプロイセン(現ドイツ)に自分たちの利益を渡したくなかった、という強欲な理由から戦争が起こったのでしょう。そしてプロイセンは戦争に敗れました。

次に行ったのがドイツ経済の乗っ取りです。皆さんは不思議に思いませんか?ドイツは第一次世界大戦で大負けして、当時の国家予算の何十年分にも当たる賠償金を支払わなくてはならなくなりました。その結果、信用度の低いドイツマルク紙幣を刷りすぎて物価が急激に上昇し、ひどいインフレーションが発生しました。そのインフレ率はなんと数十万 % です。ドイツに住む人々は、ひどく疲弊してしまいました。

そこにお金を貸し付けたのがアメリカです。そして不当な状況下に置かれて不満が爆発寸前だった人々のいるドイツという国で、アドルフ・ヒトラーという一人のカリスマを育て上げるのです。おそらく、ヒトラーという人物の演説が上手かったのは本当なのでしょう。その才能に目をつけた一団が彼の才能を磨き、教育し、結果的には一人の怪物を生み出してしまったのだと思います。

アメリカはナチスドイツに大量の投資を行い、武器を造る会社を初めとした、軍需産業に必要な会社などを次々設立しました。例えばフォルクスワーゲンを造った会社などは、アメリカのフォード社が 100 %出資していたそうです。また、ヒトラーはかの有名なアウトバーン(高速道路)を造りました。効率的に戦争を行うためには、交通網の整備が欠かせなかったからでしょう。そしてこの偉業は、間違いなくアメリカのマネーがあったからこそ達成できたことなのだと思います。ドイツが栄えれば栄えるほどアメリカの金融資本家達は潤うわけです。

飛ぶ鳥を落とす勢いで拡大していったナチスドイツは、しかしソ連の冬将軍を前にして敗北してしまいます。ある一人の論客は、ナチスドイツをあそこまで焚き付けた目的は、ナチスにソ連を倒してもらい、その後ソ連の地に眠る豊富な資源を手に入れることにあったのでは?と語っています。私もそんなところかな、と思います。というか、日露戦争にも同様のことが言えるのかもしれません。如何にロシアの国力を衰退させるか、という課題があるのでしょう。そして、今のロシアとウクライナの戦争です。歴史は繰り返されているのです。