闇のマネー その三

イギリスの中央銀行を掌握する

ナポレオン戦争を利用して莫大なマネーを手にしたロスチャイルド一族は、マネーの力を使って自分達の地位を向上させていきます。彼らはイギリス政府を初めヨーロッパの多くの大国にマネーを融資するなどして、あらゆる手段を講じてその存在感を大きくしていきました。そして1822年に5人の兄弟とその男系の子供達は、オーストリア皇帝から「男爵」の称号を授かりました。

また、ナポレオン戦争で儲けたマネーによって、ロスチャイルド一族はイングランド銀行を手中に収めていくことになります。1825年にヨーロッパで起こった恐慌によって疲弊していたイングランド銀行に融資をして、少しずつ同行の金 ( Gold ) を自分たちの手中に移すことで、金の保有量を増やし、金本位体制の中で一族の優位性を強めていきました。そして最終的には、イギリス政府の中央銀行であるイングランド銀行の大株主となることで、イギリスの通貨発行権を事実上手にすることになりました。

さらに彼らはヨーロッパにおける地位を確立するのに並行して、アメリカ合衆国やインドを初めとした海外の市場にも進出していきました。そして目指したのが、イギリスでの成功体験をアメリカ合衆国でも再現することです。つまり、米国における中央銀行の権限を手に入れることで、米国の通貨発行権を掌握しようと試みます。

アメリカ合衆国では、1791 年に第一合衆国銀行という民間所有の中央銀行が創設されました。しかし、中央銀行の勢力が大きくなりすぎるのを拒んだ大統領と議会は、同行の公認期間を 20 年という期限つきにします。1816 年に出来た第二合衆国銀行も、同様です。そして第二合衆国銀行が任期の 20 年を終える前に公認を更新しよう、というロスチャイルド家の働きかけもあったようなのですが、それを阻止したのが第七代大統領のアンドリュー・ジャクソンでした。ジャクソン大統領の強い意志が働いたおかげで、アメリカ合衆国には 1836 年から 1913 年まで中央銀行は作られませんでした。