No.6 固定化された小宇宙の悲劇

一人一人の頭の中の小宇宙が固定化されると、他者との対話が成立しなくなります。自分は自分、他人は他人です。一人一人が持っている小宇宙は違うのです。人間というものは、皆、生まれた環境も違えば、育った環境も違います。もちろん考え方も異なります。千人の人がいれば、各々の小宇宙も千差万別です。その異なった小宇宙を持つ人々が、相互に交流を持つことで人間は成長していきます。

相手が常に自分の思い通りに動いてくれたとして、それって幸せなことでしょうか?もちろん、多くの方が一人の方の考えに賛同して生じた結果であれば、問題はないでしょう。しかし、多くの場合みんなの意見を一致させることは難しいことです。

今の日本の不幸なところは、指示系統がトップダウンでなされている組織が多いところです。トップにいる人間の能力が、そのままその組織のレベルに反映されます。様々な考え方を持った人々の話を聞き、複数ある選択肢の中から、一番優れているであろう方法を選択し、実行する人が頂点に立てば、問題はありません。問題は、固定化された小宇宙を有する人物がトップになった時です。

固定化小宇宙さんは、誰の意見も聞かずに、自分の考えで突っ走ります。固定化さんの思い通りに、物事が進んで行きます。固定化さんご本人は、幸せかもしれません。しかし、客観的に外から見ると、それは裸の王様に過ぎません。

私だったら、何の進歩もなく、独りよがりな小宇宙の中で、生きて行きたいとは思いません。