真実をしらす その拾弐

DNA に刻まれているもの

DNA( deoxyribonucleic acid:デオキシリボ核酸 )は言わずと知れた生物の遺伝情報を司どる物質です。DNA を構成するのはアデニン、チミン、グアニン、シトシンという四種類の塩基で、三種類の塩基を決まった順番で組み合わせることで、特定のアミノ酸を作ります。そしてこのアミノ酸をつなぎ合わせて出来たタンパク質から、生物の身体は造られています。つまり、DNA は人間の身体を造る、物質面での設計図です。そしてこの設計図を二人の親から受け継ぐことで、一人の人間が産まれます。そうして、固有の遺伝情報を宿した個人が誕生することになります。一卵性双生児など特殊な事例を除けば、この世界に全く同じ遺伝子情報を有した個体はほとんどいないことになります。

それでは精神的な情報は遺伝しないのでしょうか?私は「遺伝する」と考えています。よく耳にするのが、超能力と言っていいような特殊能力を受け継ぐ家系が存在する、というお話です。その能力は隔世遺伝の形で引き継がれることが多い、という話もよく耳にします。こういったお話の真偽のほどは今のところ明確には説明できませんが、このような現象の秘密もやがて解明される日が来るのかもしれません。

家系で受け継がれていくのは、特定の性質かもしれませんが、血縁関係のない人間の間で、好みや記憶が引き継がれることがあります。例えば、臓器移植を受けた前後で性格や好みが変わった人の話を耳にすることがあります。故人から臓器移植を受けた場合は、ドナーの生前の記憶を受け継ぐケースもあるようです。ということは、DNA は単なる身体の物質面での設計図であるだけではなく、そこには精神的な記録も刻み込まれている、と言えるのではないでしょうか?つまり、DNA には大昔からこの物質世界で暮らしてきた、私たちのご先祖さま達の生きた記憶が脈々と刻み込まれているのです。そう考えたら、なんだかすごくないですか?

そして、広大な大陸で生活するある民族集団の中で生を受け、その後長い年月をかけて異民族との混血を繰り返しながら生きてきた集団とは違い、日本人はこの狭い日本列島という国土の中で、長い間護られて生きてきました。大陸から他の民族が渡ってきたこともあったでしょう。ですが、ユーラシア大陸と比較した場合、その数は微々たるものだったはずです。

一万年以上、人間同士の殺戮の争いがなかった歴史を有する、長い年月平和な生活を維持して生きてきたご先祖さまを持つ私たち日本人の身体には、間違いなくその DNA が受け継がれているのです。