黒い手のあくまをつかまえた。※10m級

日曜日、美容室帰り。

 

シャンプーをされてから、頭が異様に重くなった。
目眩がするしくらくらする。

 

皇居の時より下手すると辛い。

 

熱中症を疑っていろいろ対処をした後も症状が収まらない、だけど気分はそこまで悪くない。
浄化と上昇をしてみるのだけど、反応はあってもやっぱり処理が進まない。
悪魔系かな、とあたりをつけて、審判の層まで上ってみる。

 

真っ白な炎(と、私には知覚されてる)で自分の体を燃やしていくと、だんだん頭の重さも少しずつ減っていく。

 

審判の時、精神界での自分の体が燃え尽きた後に残るのは、いつも小さな光の粒だ。
最初は芥子粒のように小さかったのに、最近、小豆大になった。ダイヤモンドみたいな、虹を帯びた白い煌めきをもっている。
神性が成長しているのだろうか。それともこれは小豆大の別のなにかだろうか…。

 

とはいえ、頭の中の重さは消えておらず、まだ芯がある。

 

悪魔の中には、耐熱性なのかどうか知らないけれど、殻をもって隠れているやつがたまにいて。
そういうタイプは、経験上、意識でしっかりと捕捉して光の中に引きずり出さないといけなかったりする。
そのタイプかな? と、芯に光の剣をざくっと刺して、殻割りをしてみたら…

 

真っ黒い何かが噴出した。

 

出てきた! と思ったのも束の間、エネルギーがとった形に固まった。

 

鉤爪つきの…真っ黒くて節だった、巨大な人間の指?

 

とっさに光の剣を振ると、硬くて弾かれてしまう。

 

「硬い殻…節足動物系!?」

 

黒光りする硬い殻で覆われ、鉤爪のある節だった指をもつ、大きな手のような何か。それが、奇声の叫びを上げながら空間の切れ目から飛び出してきた。※後から思うとあれはツヤツヤした漆黒の骨だった。

 

野生の モンスターが 現れた! って、ゲームなら表示されそう。

 

真っ白な精神空間の中、一本の長さが7、8メートルありそうな指が四本、天を仰ぐ。
そのまま叩き潰すように、頭上から重い唸りを上げて降ってきた。

 

「ヒェッ」と意識の世界の体をひねって指の間に入り込むようにして避けると、鉤爪が刺さったところが30センチほど陥没して砕け散り、ちょっと血の気が引いた。

 

ちょっと凶悪すぎません、このバケモノ? 外見が邪悪すぎるマスターハンドじゃん!
ハリウッドのエイリアン系映画に出演した覚えはありませんことよ!?

 

こういうのってアニメとか漫画だとあれだよね、関節に刃を食い込ませてバラす技術いるやつ…
って難しすぎるわーーー!

 

地味に凶悪、この悪魔! いや、これは悪魔なのか!?

 

少年漫画なら苦戦するのが王道だけど、でも私はとっとと済ませたいので答えを聞くよ遠慮なく!
戦いはプロに聞くべきだよいやホントに!

 

危険すぎる鉤爪攻撃を避けながら必死に叫ぶ。

 

「フツヌシさんっ、これ、どうするべきなのーっ!?」
「剣を振動させて熱で切断せよ」
「Σまた殺傷力の高い答えだなぁ! でも確かに切断しやすそう!」

 

ノータイムで返ってきた的確だが物騒すぎる答えにドン引きしつつ、即座に剣を振動させ、熱を持たせた。
くらえウルトラソニックソード!(※実際には言ってない)

 

「精神界が重力とかあんまり関係ない世界でよかったー!」

 

運動音痴の自分でもなんとか戦えます。

 

宙をすっ飛んですり抜けざま、二、三本の指をバターのように滑らかに切断しながら手のひらへ進む。そうしたら切り裂いた先、手首のような根本のあたりに、逆さに人間の上半身がくっついているのが見えた。

 

「本体はあいつかー!」Σ( ゚ロ゜#)

 

下半身が10メートル大の人間の手って、どんな生き物だよ!

 

(よし、本体捕捉…追いついた! 今!)

 

そぉい! と本体を逆袈裟に切り裂くと、グギャァと叫び声が上がり、悪魔は黒い塵になって消えた。

 

と同時に頭もスッキリと軽くなって、現実でも目が自然とぱちっと開いて、浄化の終わりが体から告げられた。

 

現実に目眩がするほど厄介な悪魔だったけど、どうにか処理はできたみたい…。やれやれ…。

……毎日のごとく悪魔らしきものがやってくるんだけど、人間ってこんなに頻繁に魔付きになるものかな…。

 

この日記のネタには困らないので、いいんだけど。