<第一章>その一

第一章 試練は、学び、ということについて

その一)人間は内向的が普通

引きコモリや、落ちコボレになる人間のほとんどは、一般的に内向的といわれる性格です。友人や世の中と、普通に接することが、難しい、といってもいいのです。そういう性格の人間は、外向的になろうとして、ほとんど失敗します。人間としての出発点として、社会性をどのように獲得するのかは、きわめて重大な問題なのですが、いまある社会の価値観やルールを、全面的に肯定した立場からのスタートは、あり得ないのです。過去においても、これからの人の世においても、さまざまな不平等や不条理が、存在することを考えれば、ひとりひとりの人間の向き合うべきテーマは、生まれた時から違うのです。そのテーマに向き合うために、人間は生まれてきたのだということを、生まれてから一度でも、親が子供に伝えていれば、コモリやコボレになる可能性は、大幅に減少するはずです。なぜなら、テーマを知らずとも、人生にテーマがあるはずだ、ということを知っているからです。そのテーマを知るためには、どんな子供であれ、自分の内側に目を向けることになります。自分の内部にその回答があることを、本能的に知っているために、人間は本来、内向的であるのが普通なのです。

(つづく…)

二千二十二年 七月二十九日 積哲夫 記