<第一章>その七

第一章 試練は、学び、ということについて

その七)時代の因果

いまの世界秩序は、第二次世界大戦後につくられ、旧ソ連の崩壊を経ても、アメリカ中心であり続けています。しかし、もう少し、長いスパンで見てみると、第一次世界大戦によって、世界を植民地というシステムで分割統治していたヨーロッパ列強の時代が終わりつつあった時代に、台頭したのが旧ソ連と、大日本帝国だったのです。当時のアメリカは、日本と同じような新興勢力だったのであり、当時の世界は七つの海を支配した大英帝国のコントロール下にあったともいえます。その後、第一次世界大戦で、敗北したドイツが、ナチス党の指導のもとで、大きなパワーを持ち、やがて、第二次世界大戦へとつき進んで行くのですが、当時は、世界のほとんどは植民地だったのです。その時代に、白人による世界の植民地化に唯一、抵抗していた有色人種の国家が、大日本帝国でした。ナチスドイツがポーランドに進攻し、第二次世界大戦がはじまり、大日本帝国は、旧ソ連と戦うか、アメリカと戦うかで、陸海軍が対立します。これが時代の因果なのです。なぜか、時代は戦争へと全世界を押し出して行きました。ここに、時代にも因果律が作用しているという、ひとつの証拠を見ることができると、その時代がつくる人間の精神についても、因果律がはたらいていることが理解できます。人間は、この運命から解放される方法を見付けなければなりません。

(つづく…)

二千二十二年 九月九日 積哲夫 記