<第一章>その八

第一章 試練は、学び、ということについて

その八)地球の因果

西洋文明というものが、科学というものをつくり出し、この世を物質面から解明してきた結果、いまや、人類という種が、この地球にとって大きな負担になっているのではないか、という知に到っています。古い話でいうなら、マルサスの人口論というのがあり、食糧生産の伸びにくらべると、人口は爆発的に増加するので、やがて、破綻することになるとされていました。その立場は、いまの世界をコントロールしているとされる人間グループの共通の認識のようです。だから、人口は削減しなければならない、という立場です。ところが一方では、日本国の人口が、どんどん減少して行く現状を憂う声もあるのです。日本国の人口は、このまま行くと半減するという予測もあるくらいです。先進国とされる地域では、人口が減り、貧しい地域では、人口爆発が続くという、この地球の現状はどこから生まれたのか、という根源的な問いを、なぜ、西洋文明はしないのでしょうか。その答えは、簡単で、それは、西洋文明がもともと持っている収奪の文化の責任論に到るので、したくない、からです。自分たちの罪を認めないまま、問題解決ができると、かたくなに信じる姿勢こそ、その文明の限界を示しているといえます。その発想そのものが、いまの地球の病理の原因だと認識する勇気が、人類にはまだ与えられていないともいえます。

(つづく…)

二千二十二年 九月十六日 積哲夫 記