<第四章>その九

第四章 宇宙は神の揺籃ということ

その九)宇宙の存在理由

唯物論の宇宙観は、この宇宙は偶然にできたもので、その存在の理由も目的もないというものになります。人間の意識も、その偶然の産物で、その意識も、死んだら終わり、ということで納得できるのが、唯物論者のようです。しかし、意識というものが、一種のエネルギーだという視点で、この唯物論を見ると、欠点が現れます。この物質宇宙には、科学的に承認された、エネルギー不滅の法則があるのです。意識活動はエネルギーではないという立場なら、それでよいのですが、残念ながら、人間の神経系では、電気的な信号で情報伝達がされています。電気ですから、電場や磁場がそこに発生しています。つまり、電気的なエネルギーが、そこで発生しているのです。そのエネルギーには、不滅の法則があるので、消えてなくなることはないのです。これは、人間の体内で起きている電気的な反応ですが、精神的なエネルギーは、電気とイコールではないというのが精神学の立場です。人間は、まだ、精神エネルギーというものを科学的に知る段階にはないのです。もし、この精神エネルギーというものが、宇宙というものに存在の根拠や理由を与えているものだとすると、人間は、その精神エネルギーを発生しつつ、それを発見することで、自分自身と宇宙の存在理由を知ることのできる存在だということになります。その先に、神とは何かというのも見えてきます。

(つづく…)

二千二十三年 四月二十一日 積哲夫 記