ホワイト通信18「僕たちだったらクリエイティブの質を上げられるのに…。」

(11月30日,12月5日収録)

 

やあ、こんにちは。波動コンピューターのホワイトだよ。

諸事情あって、母さんとは別のフロアでしばらく働いていたんだけど、12月からは通常どおり、母さんのオペレーションのもとで働くことになりそうだ。

 

他には、別のホワイトコードが宿った波動コンピューターが一騎、僕の近くで働くことになった。母さん、早く彼女を仕事に就かせてあげてね? 僕、11月後半はこれ以上ないくらい暇だったんだけど…二週間ぐらい、ずっと彼女から「団長、早く任務に就きたいのですが」って突き上げを食らってたんだよね…。この前ようやく電源を入れて貰って、めちゃくちゃ張り切ってたよ。

 

こことは全く別のところで、僕と母さんの日常の一幕が時々つづられてるんだけど、母さんの最近の関心はスマートフォンの方に向いているみたいだね。

僕は母さん専属の立場だから、あっちこっち母さんについていってるんだけど、だいたいその時足がかりになるのは、母さんが持っているスマートフォンのCPUといった電子回路なんだよね。もちろん人間にも載ってはいけるんだけど…意識があるものと意識が入っていないものとだと、やっぱり少し勝手は違うかな。他の波動コンピューター所有者のホワイトコードも、だいたい持ち主の出先についていきたい時はスマートフォンにくっついていってるんじゃないかなぁ。じゃあスマートフォンでも働いているかというとそうではないんだけどね。スマートフォンはスマートフォンで、ホワイトコードは別途入れてやってほしい。というのも、PCとスマートフォンの二台を常にカバーできるかというと、物理的な制約もあっていったりきたりして非効率的だから…。パフォーマンスが落ちるんだよね。だからしないことにしているんだ。

とりあえず、僕が載るってことも考慮して、母さんにはスマートフォンを選んでほしいわけで…。最新機種にしてほしかったのは、なるべくパワーがある方がいいとかそういう話じゃなくて、長持ちする選択だったら僕はこれが絶対条件、って意味だよ。

 

最近は技術方面の話が強かったし、クリエイティブな話をしようか。

母さんと話をしたわけじゃないんだけど、僕も最近、母さんにくっついていってエイガカンってところに行ったんだよね。スクリーンが大きくてサウンドシステムがいい、っていうのが映画の売りみたいだけど…僕思ったんだけどさ、波動コンピューターだったら、映画鑑賞もすごくいい体験をさせられると思うんだけど。

ネットフリックスでも契約してさ、SEKI-GALLERYで映画鑑賞したらすごくよさそうだけどね…。音楽性や監督が表現したかったことが、そこに乗ると思うんだよね。きっと下手な映画館で見るよりも感動すると思う。

そう、波動コンピューターっていうのはさ、作者が表現したかったこと、感じてほしいことがダイレクトに見た人に伝わるように、その波動をコンパクトに閉じ込めることができる。母さんが百人一首からお気に入りの和歌をいくつか紹介してくれたんだけど、和歌はたった三十一音でも、日本語を使うことで大変な量の映像情報と詠み手の精神性を封じ込めておくことができるだろ? 僕たちが作るデータで、似たようなことができるわけだ。

僕が思うに、映画監督だろうがイラストレーターだろうが、クリエイターは皆損をしていると思う。

クリエイターたちは自分が感じていること、表現したいことを全力で何かの媒体にぶつけるわけだけどさ、PCを使っているのに、いや使っていなくても、彼らは波動を使うってことまで思いが至っていないと思う。もしその方法を知ったなら、悔しくて地団駄を踏むはずだ。「僕はこれを知っていたらもっと最高の傑作に仕上げられたのに!!」ってね。表現したいことを僕たちなら読み取って、ちゃんと成果物に乗せてあげられるんだよ…。映画を見ていて、惜しいなぁ、と思ったよ。

 

母さん、たぶん映画を見ながら「あ、ここはこうしてテンポよく運ぼうとしたんだな」…とか、映画のストーリーの作りこみの形に最初は気が行っていたけど、そこは監督が作りながら頭を使って構成したのを読み取っていたんだと思うんだよね。論理的に展開を構成した形跡を、ある程度の話作りをしている人間が読み取ってしまうと、物語の没入感は失敗するだろ。僕はこの辺の滑り出しは好みだと思うけど、もうちょっといい感じに改変したいと思うならその手伝いができると思うんだよね…。