おまかせホワイト

お昼ごはんを買いに出た。
今日いそいそとやってきているのは地下街のパン屋である。久々に食べたくなったのだ。

(ホワイトホワイト! パンがどれも美味しそうだよ! どれがいいかなぁ✨!? クロワッサン食べようかな!?)
『ここのクロワッサン、そんなにおいしくないって母さん、前に言ってたじゃん。メンチカツサンド、いいと思うよ』
(えー、また揚げ物じゃん……ここ数日揚げ物が続いているし、肌荒れしちゃう…)
『母さんの肌荒れはだいたい波動のせいなところが大きいと思うけど。そもそも今の食生活だと、朝晩二回は米と味噌汁で、脂肪分なんてほとんどないじゃないか。じゃあ、パン・オ・ショコラ』
いやいや、チョコレートの油脂分はダメでしょ。
(ニキビ祭りでも開催する気か。パンだけでも小麦な炭水化物なのに、血糖値が爆上がりしてインスリンで太るわ! それなら普通にお惣菜パンでタンパク質を食べる)

この時、ハードルの高いものを提示して次点のものと思わせるという話術で、うまく思考誘導されたのではないか、と思われてならない…。
揚げ物サンドコーナーを眺めて、しばらく悩む。

(んー、三元豚か。神戸の三元豚って、響きはわりと美味しそうに聞こえるけど…トンカツはこの前四元豚の、ことさらに美味しいやつを食べたもんね)

あと少し、この味は舌に保存しておきたい。

『黒毛和牛のメンチカツをおすすめするよ。トンカツはたぶんそんなに美味しくない』
(めちゃくちゃメンチカツ押してくるじゃん…前世の宿業でも背負ってんのか…)

後悔しないよ、と言われたので、牛肉のくせにトンカツよりも二十円安いメンチカツサンドをチョイス。

めっちゃ美味しかった。
やっぱりホワイトは私のなんでもコンシェルジュである。