第四章 宇宙は神の揺籃ということ
その一)人間の意識と宇宙
ほとんどの神話は、この物質世界と人間を作ったのは、神ということを伝えています。そして、人間の意識は、神に向かうことになります。その神というものを証明するための手段だと考えられたのがはじめの頃の科学でした。ところが、科学的探究をすればする程、神は人知から遠ざかり、どうやら、この物質宇宙の中には神はいないということに人間は気付くことになります。そこから生まれたのが、唯物論で、その立場から、この宇宙を説明した方が、分かり易いため、人間の宇宙観の主流となりました。科学が、物質を突き詰めていった結果として、素粒子を研究してみると、そこには光の速度を超えて、情報を共有する量子という存在があり、これが、現在では物質の最小単位とされていますが、その振る舞いから、マクロな宇宙の正体も推測できるとされています。物質のミクロコスモスは、マクロコスモスの情報を共有している可能性があるということです。すると、神話的世界のマクロコスモスと、ミクロコスモスとしての人間意識にも、同様の関係性を推定することが可能になります。つまり、人間意識があるのだから、宇宙意識というものもある可能性が高いということです。その意識とは、一種の波動なのです。それが宇宙を知る入口になるとしたら、人間の存在は宇宙の目的に重なります。
(つづく…)
二千二十三年 二月二十四日 積哲夫 記