神さまの語るところに曰く。
今、皇居は暗黒の結界によって封じ込められているという。
GHQ占領下の時代から、何らかの拍子に皇居が封じられたようなニュアンスを、フツヌシさまの説明から受けたが、事実かどうかはわからない。
「いざという時に皇室を動かせるようにしておかねばならぬ。8月では遅い。7月までにせねば。ゆえに、皇居にヒトとして参れ」
「はぁ…」
新幹線の中、生返事。10時くらいに東京につきたくて、5時から起き出してきているから、座席の上で仮眠をとった。目がしょぼしょぼする…。
東京の皇居は、神が皇室を経由して結界を形成するために使われている、というようなイメージを受け取った。
「…ん? あの、それって…」
今年、関東で災害が起きる可能性が高まっているとの情報を、この前小耳に挟んだばっかりなんですが…いや、まさかね。関係ないか。
しかし、そんな結界を解除するなんて、どうすればいいのか。
「なんか物理的に持っていくものはありますか?シールとか」
「ない。ダークシールではただの闇の排出ゆえ解決にはならぬ。その身一つで皇居の前に立て。浄化力が肝となる。…同行者がその点ではやや危ういやもしれぬな」
内心で白目をむいた。まじか。
それってつまり…
NASAとJAXAの悪魔連中が日本とアメリカ上空に建設してた暗黒の殻、浄化力でぶち抜いた時と同じやないかーい…
どんだけ浄化しないといけないんだろ。
グロッキーになってぱったりいく覚悟しておこうかな?
新幹線が東京駅にまもなく到着する旨のアナウンスが流れる。窓のブラインダを上げると、外には巨大なビルが林立しているのが見えた。やっぱり東京都心のビルは大阪よりも大きいなぁ。
…待って、今窓からビルの合間にチラ見えしたの皇居だよね?
なんか、気のせいかな? 上空に厚さ30メートルくらいのダークエネルギーの塊が浮いてるのが見えたんだけど…。
…何アレ。アレ、浄化スルンデスカ。
「審判の用意は十分か。覚悟は良いな?」
ナイデス。
「ないけど、まぁやりますよー…いつでもどうぞ」
最近、諦めるのだけは極まってきた気がする。こんなのばっかりだなー。