科学というものを信じた日本人。

日本が開国した時のヨーロッパとアメリカの文化圏というものは、社会主義や共産主義といったイデオロギーの黎明期であるのと同時に、科学技術においても、精神医学などの領域においても、急激な成長を体験した時期でした。当時の日本人は、それを学ぶことに夢中になりましたが、実は、その背後にあったキリスト教の歴史のなかの神と悪魔の対立構造の本質を理解するには到らなかったのです。ただし、戦前の日本人は、すでにアメリカを支配している国際金融資本家たちと、一般のアメリカ国民の間には、歴史的な対立があることなどは知っていたのです。それらのことを知りながら、世界を分割することが大国の行動原理だった時代に、日本だけが有色人種の国だったために世界の帝国クラブの異端者である自覚を、なぜ持てなかったのかということなのです。いまも、日本は、先進国グループのなかの唯一のアジア圏の国家です。その立場にいるのは、日本人のみが自身の言葉で、西欧文明由来の科学技術をマスターした結果なのですが、科学の背後にいる悪魔の存在に気付かないと、アメリカもヨーロッパも永遠に越えることはできません。日本の科学技術が衰退しつつある理由は、その歴史に対する無知からきています。