<第二章>その六

第二章 意識は波動ということ

その六)意識はどこへ向く

人間の意識のルーツは、宗教が伝えるところの「神」というものだということが理解できると、地球上で、宗教的なエネルギーの噴出が歴史を形成してきた原動力ということにも納得がいきます。それとは別に、意識というものは、人間の中で、自分が何者か、と問い続けるベクトルを持っています。それは、自分がどこから来て、どこへ行くのか、という問いかけにもなります。その意識のベクトルがなければ、人間は科学的に宇宙の創成と、宇宙の終末を考えることもなかったともいえます。ここまでの論考で、はっきりするのは、どうやら、人間の意識のルーツにある「神」というものも、正しく自分は何者かを知らないのではないかという疑問です。とりあえず、人間という生物に宿った意識は、この宇宙がどのようにして生まれたのか、という疑問に向いて、いろいろな思考をくり返してきたという歴史があります。それは、唯一の神が、この宇宙を創造したとする一神教の立場の宇宙観とは、対立するもののようにも見えますが、科学的な宇宙創成でいうところのビッグバンは、はじまりがひとつの点です。その意味では、唯一の点から、宇宙は創造されたともいえ、そのトリガーを引いたのが、意志、または意識というものかも知れないと考えれば、対立点は消滅してしまうのです。

(つづく…)

二千二十二年 十一月十一日 積哲夫 記