<第二章>その三

第二章 意識は波動ということ

その三)動物と意識

人間は、母の体内で、地球上の生命の進化をくり返すかのように成長するといわれています。つまり、魚類にはじまり、ほ乳類、そして、人間の形へとその形態を変えて、出産に到るのです。ここから推測できるのは、動物というものは、その生命反応としての意識を持つらしいということです。人間は、自分を含め、すべての人間に自分という意識があることを知っていますし、動物を飼ったことのある人間なら、すべての動物に、人間のような個性があり、意識があることも知っています。ペットの犬や猫と、人間は言葉でコミュニケートしていますが、その言葉をペットの犬や猫が理解しているように見えるのには、同じ進化系を辿ってきた結果だと考えることができます。こうして、生物界というものの頂点にいると信じている人間の姿を見て、これが、進化の究極にあると考えることには無理があると普通の人間ならば直感するはずなのです。そして、この知に到った時点で、いまの人間にとっての犬や猫のようなものが、古き神話で語られる原初の人間の姿ではないかという思いが、生じることになります。つまり、生命というものは、意識を成長させ、人間の意識も、まだ成長途中なもの、という考え方です。この視点では、人間の意識は、まだまだ、成長していく余地がある未完成のものということができるのです。

(つづく…)

二千二十二年 十月二十一日 積哲夫 記