<第三章>その五

第三章 人間は審判の容器ということ

その五)宇宙の相互作用

人間は意識を持つ存在で、それはミクロコスモスと呼ばれてきました。つまり、小宇宙は意識体ということです。ところが、この意識というものは、人間の物質的なものからのみ生じたのか、それ以外の要素も含めた領域から生じたのか、いまの科学では説明できません。また、人間の意識の座である脳は、その本来あるべき能力のほんの数パーセントしか使っていないといわれています。この人間の脳のやっかいなところは、認識していないものは、ない、と判断してしまうことで、そこの部分に光を当てて、無意識や潜在意識といった言葉が生まれ、実は、その領域の活動が、人間の表層の意識を規定していることが分り、心理学や精神分析学などの分野の研究が進んだのでした。つまり、人間が、自分たちの意識活動のほとんどは、全体のごく一部だということに気付いて、この物質宇宙というものは、宇宙全体の表層の数パーセントに過ぎず、残りは、人知にはないダークマターやダークエネルギーというものが約95パーセントを占める、宇宙の姿を認識するという知に到ったのです。そこには、ミクロコスモスとマクロコスモスの、ある種の相互作用が働いているように見えます。この関係性があるとすると、人間が宇宙を認識すると、宇宙もまた、人間を認識するということになるのです。

(つづく…)

二千二十三年 一月十三日 積哲夫 記