<第三章>その三

第三章 人間は審判の容器ということ

その三)大宇宙の投影か

人間が小宇宙だとしたら、そのもととなる大きな宇宙とはどのようなものなのか。現在の宇宙は137.7億年前に、ビッグバンで生まれたことに、科学的にはなっています。そのスケールは、仏教が伝えてきたミロクの世が56.7億年後にやってくるというものに近く、キリスト教圏にはこうしたスケール感はありませんでした。過去、生きた人間の小宇宙は、その時代の宇宙というものの認識に対応した大きさだと考えると、いまの人間の小宇宙は、137.7億年スケールの宇宙に対応していることになります。そして、科学的には、この宇宙はいまも拡大を続けていて、その未来はまだ予測不能なようです。さらに、人間が知っている宇宙の姿は、この宇宙全体の質量の約4.9パーセントに過ぎず、残りは、ダークエネルギーが約68.3パーセント、ダークマターが26.8パーセントということです。ダークエネルギーもダークマターも、まだ人知の領域にはない、その名の通りの暗黒が、この宇宙の大部分ということになります。もし、このほとんどが、暗黒のエネルギーと暗黒の物質という大宇宙を、そのまま投影しているのが、人間の小宇宙だとしたら、自分は何者なのかを知ることは困難でしょう。人間が意識化できるのは、自分という小宇宙の、たったの5パーセント以下ということなのですから。そこに、神知は人知に先立つという法則が、あるという精神学の知が役に立ちます。

(つづく…)

二千二十二年 十二月三十日 積哲夫 記