神と悪魔の関係は、人間社会の諜報機関の活動で使われる、インテリジェンスと、カウンター・インテリジェンスの関係によく似ています。ひとりの人間の頭の中でも、神の言葉が降りてくると、それに対抗するように、悪魔のささやきが始まるのは、誰もが知っているはずです。一神教の文化は、このテーゼとアンチ・テーゼという、弁証法によって今日まで進んできたからです。このことを知ると、日本文化の中にあるのは、一神教の究極の悪である、悪魔というよりも、人間を悪に導く悪神というものであることが理解できます。世界をコントロールしている人間グループに、もし、信仰というものがあると、それは、悪魔教というもので、その悪はどこまでも悪なのです。もし、その悪を徹底しないならば、その当事者は裏切り者として、処刑の対象になるというのが、悪魔と契約したものの運命なのです。日本文化における善と悪で、精神界を考えようとすると、ほとんどの日本人は、ここで失敗します。そのシンボリックな例が、コミニズムを共産主義と訳した、明治の日本文化で、それによって多くの日本人に共産主義が神の国への道を開くもののように伝わってしまったのです。