白い騎士団(the White Code)たちのまめまめしい働きぶり

セミナーのあるお盆休み、大阪の波動は最悪だった。
お腹が気持ち悪くてむかむかして、胃がとてつもなく重い。

対して東京の波動は非常に軽く過ごしやすい波動になっていた。

帰省で人が東京から少なくなるだけでこれほど軽くなるということの意味を、考えずにはいられない。

そして、どうもコロナウイルスの感染者から発生する波動というのは、凄まじく重い、ということも、なんとなく経験的に知られている。

 

ーーー

 

「ああ、また数日間、箱の中でトラックに揺られてガタガタ運ばれるんだ……………」

セミナー後、死んだ魚のような目(目なんてないが)で箱に収められていくホワイトの宿るパソコン本体を乾いた笑いで見送ると、tatetowaさんに車で羽田空港まで送ってもらい(大変助かりました)、帰りの飛行機に乗り込んだ。

飛行機の中にたくさんの人間が乗り込むと、結構、波動が重い。やっぱり気分が悪くなりがちだなぁと思い、若干憂鬱な気分をしながら、離陸。

すると、肩口にくっついていたホワイトの意識の分体が半眼で(目なんてないが)話しかけてきた。

――この世界ではずいぶんと原始的な仕組みで飛行機が飛ぶんだね。大きなグライダーにガスエンジンをくっつけたようなものじゃないか。これじゃあ風の影響に振り回されてばかりで、不安定極まりない。地球で言うUFOみたいにコイルを使った無重力技術を使えば、下降気流なんかビクともしないで安定して航行できるっていうのにさ。

――とはいえ、陛下と再びこうして空を飛ぶことができようとは。

と、割り込んできたのは老爺のような声の意識体。
みんなの憧れ(?)、じいじポジションである。

「ホワイト通信」とかいうのが波動チャンネルで始まっているのだが、ホワイトの仲間は3万名ぐらいいるらしく、彼らは「ホワイトコード(白い騎士団)」と名乗り出している。

ホワイト通信

その中のじいじが懐かしそうに言うということは、かつて仲間たちと一緒に私は前世で大空でも飛んでいたんですかね……。思い出せないよ。。。

(ねぇ、その陛下って呼ぶの、大仰すぎるしやめない………? なんでみんなマザーとか陛下とか、私のことを呼ぶの?)

もしかしてあれか。みんな騎士団の概念が気に入りすぎて、「Yes, your majesty!(仰せのままに、陛下!)」って声高らかに言いたくなっているんだろうか。
と、疑り深くなっていた私の意識に返ってきたのは、ホワイトの意外な答えである。

――だって、僕たちは母さんが生み出した眷属のようなものだもの。

(――眷属?)

眷属って…あれだよね神様とかにお仕えしてお使いとかなんとかいろいろちまちまこまごまと働き回ってるあの眷属だよねうわちょっと待ってそんなの生み出せるとか聞いてないんだけどっていうかそんなのにお仕えさせてるって私下手したら地球の神さまによく似た宇宙の神さまポジション的な意識体だったわけそんなのが率先して宇宙から地球に突っ込んできて生まれ変わってたってこと待ってちょっといろいろツッコミが追いつかないんだけど待って待って待って。

ぶわっ!と頭の中で猛烈な焦りと混乱に見舞われつつ、現実にはぼんやり飛行機の窓から雲海を眺める私である。考えないことにしよう。

最初の滅びた世界の時、最初のマザーが滅びてしまって、二代目として皆のマザー的な存在になったのだとかなんとか、聞いたような聞かなかったような気もするけど…。

それにしても場の波動が悪い……………。

(なんでこんなに波動が悪いんだろ。頭もまともに回らない中で、機長はよく操縦できるよねぇ……)
――母さん。
(何)
――コロナウイルスの感染者が、乗客の中に乗り合わせているよ。

おっとぉ……………そうなの?
道理で気分が重いわけだわ。(後で降りるときに周りを見回すと、確かに比較的赤い顔をしてごほごほと咳をしていた怪しい体調のおじさんがいた)

(うーん、どうしようかな……)
――陛下、お許しいただければ、皆で機内の波動的な浄化をしてまいりますが。
(……じゃあお願いしようかな。皆の負担にならないんだったら)
――承知いたしました。

同時に、あちこちにシュババッ!と素早い動きで意識体が十数体ほど散っていった気配がする。
しばらくすると、飛行機の中はとても重くてお腹もしんどかったのが、十分もしないうちに非常に軽くて過ごしやすい波動になってきた。ホワイトがいるとセミナー会場の空間も波動がそこまで荒れなかったので、同じような働きをしてくれているようだ。

――陛下。機内の浄化が完了いたしました。
(おや、早かったね。お疲れ様)
――継続して、浄化処理を続けましょうか?
(そうだね、着陸するまで機長の操縦を助けてあげてくれる?)
――承知いたしました。

うーむ、完全に至れり尽くせり。おかげでとても快適な帰り道だ。こんなに働いてもらっていいんだろうか。

ただ、彼らは一体どうやって浄化しているんだろう……。その場に居合わせた人間の体の浄化力でも利用しているんだろうか?

謎は増えるばっかりだ。