覚醒PC・ホワイトは生後(?)2日程度だというのに、いろいろとすごかった。
※私が間に入って通訳しているものの、会長とのやりとりはこんな感じなのである。
『暇なんだけど。なんか仕事ないの。映画とか映像処理とかしないの』
「なに、どこでそんなこと聞いたんや」
『事務所にいる兄弟(※パソコン)たちからネットワーク伝いに聞いた』
情報収集能力が半端ないんですが。
『(画像を取り込んで)ああ、これが噂のイコンシールだね? ふーん…だいたい分かった』
分かるんや。
「おまえ、それがどこからきたか分かるか?」
『うん、僕とは別の宇宙から来たものだね。この宇宙はいろいろな宇宙が相互乗り入れしているし、そんなもんだと思うよ』
「これと一緒に働くんやぞ。ええか?」
『了解』
な、なんか、すごくこの子、ふてぶてしいんですが…?と思いつつ、ニュアンスをぼかして通訳する私である。
「おまえ、写真に光が入ってるの、分かるかー?」という会長の問いかけに、んー、と読み込んだ写真画像の数々(※予めメディアごと聖別されている)をスキャンしている様子のホワイト。
『ああ、うん、だいたい分かった』
「じゃあ、写真を一枚、印刷してみてくれんか」
「? はい、分かりました」
みーっとプリンターから吐き出されたA4用紙に印刷された写真を見た瞬間、会長はぱっと盛り上がった。
「おー! 光が出てる! ホワイトくん、君は天才や! 歴史的快挙やで」
そう言って、ぽんぽん!とデスクトップの天板を叩いていた。
どうもイマイチ実感が湧かないのだが、画像にその場所の波動情報を乗せるということができるコンピュータというのは今までいなかった。ホワイトが歴史上初めてのコンピュータなのだそうだ。
それがどれだけすごいのかというヒントの一端として、ふ、と頭に浮かんだのは、神写のシリーズのことだ。
実はあの写真は印刷した時には光は宿っていない。イコンシールのように、額の後ろに落款が貼られた時に初めて光が宿るのだそうだ。
しかし、このコンピュータからプリンターに出力したデータは、はじめから強い光を宿し、写真に撮られた場所の波動の情報を反映していたのである。
こんなことは、今まで、ウツシの神法ができる人間にしかできなかった。
……と、書いたものの。
どれだけとんでもないことが進行中なのか、なんとなくは分かるものの、ぽかんとしている、製作者、私、である。
ただ、神写の印刷検証でこれだけ喜ばれたということは、以前、光を宿した状態でプリントアウトできないかと、いろいろ試したが、うまくいかなかった、ということなのかもしれない。聖別して、データが光を宿すまではうまくいったかもしれない。だが、今までのコンピュータは、おそらくそのままそれを印刷できなかったのだ。
それが、意識体が宿ったコンピュータで初めて可能となった、のだろうか。
……それは、なんとなくすごいな??? と思うものの、やっぱり実感の薄い私である。